「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」という言葉を、
テレビや雑誌で見聞きしたことはありませんか?
超高齢社会といわれる日本では、「健康寿命を延ばすこと」が重要なテーマとなっています。
この3つは、どれも健康寿命に深く関わる言葉ですが、
「それぞれなにが違うの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、3つの違いをわかりやすく整理しながら、
50代・60代から始めたい足腰の健康づくりについてご紹介します。
アルコット編集部
これからも元気に動き続けるために、まずは知ることから始めてみましょう!
知っておきたい「フレイル・ロコモ・サルコペニア」の違い
「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」は、どれも年齢とともに起こりやすい心や身体の「衰え」に関係する言葉です。
似ているようで、注目しているポイントが少しずつ違います。
| 用語 | 注目しているポイント |
| フレイル | 身体的な衰え・精神や心理面の衰え・社会的な衰え |
| ロコモ | 「骨・関節・筋肉・神経」などの運動器の衰えによる、
移動機能の低下 |
| サルコペニア | 「筋肉量・筋力」の衰え |
関係性を図に表すと、次のようになります。

以下で1つずつ解説していきます。
【フレイル】「健康」と「要介護」の中間の段階
フレイルとは、もともと「虚弱」をあらわす言葉で、
加齢によって心や体の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を指します。
高齢になると、健康な状態からいきなり要介護になるのではなく、
フレイルの段階を経て、少しずつ介護が必要な状態へ進んでいく場合があります。

フレイルには、大きく分けて3つの側面があります。
①身体的な衰え:筋力や体力が低下など
②精神・心理的な衰え:気力や認知機能の低下、気分の落ち込みなど
③社会的な衰え:外出や人との交流の減少、閉じこもり、孤食など
こうしたさまざまな要素が重なり合いながら、フレイルにつながることがあります。
そのため、筋力や体力が落ちたといった体の変化だけでなく、
「最近あまり外に出なくなった」
「人と話す機会が減った」
「なんとなく気力がわかない」
といった変化も、フレイルを考えるうえでは大切なサインのひとつです。
アルコット編集部
ただし、フレイルは早めに気づいて適切に対策することで、改善が期待できるのも特徴です!
【ロコモ】立つ・歩くなどの「移動機能」が低下した状態
ロコモとは「ロコモティブシンドローム」の略で、骨・関節・筋肉・神経などの「運動器」に問題が起こり、立つ・歩くといった移動する力が低下した状態のことです。
たとえば、次のような「足腰の変化」として表れることがあります。
「階段の上り下りがつらくなった」
「長い距離を歩くのがおっくうになった」
「つまずきやすくなった」
ロコモが進行すると、日常生活に支障が出たり、将来介護が必要になるリスクが高まったりするため、早めに気づいて対策することが大切です。
【サルコペニア】加齢により「筋肉量・筋力」が低下した状態
サルコペニアとは、加齢や生活習慣が原因で筋肉量が減り、筋力や身体機能も低下した状態のことです。
ロコモが骨・関節・筋肉・神経など「運動器全体」に注目した言葉なのに対し、サルコペニアはその中でも、とくに筋肉の衰えに注目した言葉です。
サルコペニアにつながる要因としては、たとえば次のようなものがあります。
| ☑️食事量が少なく、十分な栄養が取れていない
☑️過度な食事制限をしている ☑️体を動かす機会が少ない |
筋肉の衰えは年齢とともに起こりやすくなりますが、運動や食事など、日頃の生活習慣を意識することが大切です。
フレイル・ロコモ・サルコペニアはお互いに関係しています

フレイル・ロコモ・サルコペニアは、まったく別々のものというわけではなく、
お互いに影響し合っています。
| 筋肉量や筋力が低下する
↓ 立つ・歩くことが大変になる ↓ 外出や活動する機会が減る ↓ さらに筋力や心身の活力が低下する |
たとえば上記のように、それぞれの状況が影響して悪循環につながり、
気づかないうちに進行してしていることもあります。
反対に、外出や人との交流が減ったことをきっかけに活動量が少なくなり、
筋力や移動する力が低下していくこともあります。
どこから始まるかは人それぞれ。
だからこそ、ちょっとした心や体の変化に早めに気づくことが大切です。
💡早めに気づき、適切に対策をすることが大切です!
フレイルは、生活習慣を見直したり、体を動かしたり、人との交流を増やしたりすることで、再び健康な状態に戻ることもできるといわれています。
またロコモやサルコペニアも、原因に合わせて運動や食事の改善、
そして適切な治療などを行うことで、改善が期待できます。
アルコット編集部
「年齢のせいだから仕方ない」とあきらめず、まずは日頃のちょっとした変化に気づき、早めに対策していきましょう!
最近こんな変化はありませんか?日常生活を振り返ってみよう
年齢とともに少しずつ変化していると、自分では気づきにくいこともあります。
最近の生活を振り返って、こんな変化がないか確認してみましょう。
| ✅以前より歩く速度が遅くなった気がする
✅階段の上り下りがつらくなった ✅つまずくことが増えた ✅椅子から立ち上がりにくくなった ✅外出する機会が減った ✅以前より疲れやすくなった ✅人と会ったり話したりする機会が減った |
どれか当てはまったからといって、
すぐにフレイル・ロコモ・サルコペニアというわけではありません。
大切なのは、「以前と比べて変わってきたことはないかな?」と、自分の心や体の変化に気づき、早めに対策することです。
50代・60代から始めたい!元気に動き続けるための4つの習慣
ここからは、フレイル・ロコモ・サルコペニアの予防対策として、毎日の生活の中で取り入れやすい4つの習慣を紹介します!

①今より少し多く体を動かす|今よりプラス10分!
運動というと、「まとまった時間をつくらないといけない」と思う方もいるかもしれません。
でも、今より少しでも多く体を動かすことからで大丈夫です。
まずは「プラス10分」を意識してみましょう!
| ・10分だけでもウォーキングをする
・エスカレーターではなく階段を使う ・駐車場は入り口から少し遠い場所にとめる ・家事や庭仕事でこまめに体を動かす ・テレビを見ながらストレッチ |
など、毎日の生活の中でできることはたくさんあります。
厚生労働省でも、「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」というメッセージで、日常生活の中で身体活動を増やすことをすすめています。
アルコット編集部
まずは無理なくできることから意識してみてくださいね。
②無理のない筋トレを取り入れる
筋肉を維持するためには、日頃から適度に筋肉へ刺激を与えることも大切です。
ジムに通ったり、特別な器具を使ったりしなくても、自宅でできる簡単な運動から始められます。

たとえば、次のような筋トレがあります。
・スクワット
・お尻上げ
・かかとの上げ下げ
回数を多くすることよりも、無理なく続けることが大切です。
アルコット編集部
ひざや腰に痛みがある場合は無理をせず、体調に合わせて取り組んでみてくださいね。
③バランスのよい食事|筋肉をつくるために必要な「たんぱく質」
元気な体を保つためには、運動だけでなく毎日の食事も大切です。
とくに、筋肉づくりに欠かせない「たんぱく質」は意識して取りたい栄養素です。
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など、さまざまな食品から取り入れましょう。
また、骨や筋肉の健康を支える「カルシウム」や「ビタミンD」も大切です。
| カルシウム:乳製品、小魚、大豆製品など
ビタミンD:魚介類、きのこ類など |
ひとつの栄養素だけに偏るのではなく、いろいろな食品を組み合わせてバランスよく食べることを心がけましょう。
④人との交流や外出も大切に
健康づくりでは、体を動かすことや食事だけでなく、
「人とのつながりを持つこと」もとても大切。
外出する機会や人と話す機会が減ると、活動量が少なくなったり、気分が落ち込みやすくなったりすることがあります。
| ・家族や友人と会話をする
・散歩や買い物に出かける ・趣味や地域の活動に参加する ・無理のない範囲で仕事を続ける、または始める |
「外に出る」「誰かと話す」といった小さなことも、心と体の元気を保つきっかけになります。
仕事を通じて「体を動かす・人とつながる」ことも健康づくりに
仕事をすることは、日常の中で体を動かしたり、人と話したりするきっかけになります。
また、決まった時間に外へ出ることや、社会とのつながりを持つことも、
生活にメリハリをつけるうえで大切です。
仕事を通じて「身体活動」「人との交流」「社会参加」の機会を持つことも、50代・60代以降の健康づくりを考えるうえで大切な要素です。
アルコット編集部
もちろん無理のない範囲でですが、自分に合った働き方を続けることも、 元気な毎日につながるひとつの方法かもしれませんね。
まとめ|早めに気づいて、元気に動ける毎日を続けよう
フレイル・ロコモ・サルコペニアは、それぞれ意味は異なりますが、どれも50代・60代からの健康を考えるうえで知っておきたい言葉です。
大切なのは、心や体の小さな変化に早めに気づき、できることから対策していくこと。
体を動かす、バランスよく食べる、人とのつながりを持つなど、毎日のちょっとした習慣が健康づくりにつながります。
無理なく自分のペースで、これからも元気に動ける毎日を続けていきましょう。
【参考資料】
- ・厚生労働省 「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ」
- ・厚生労働省 総合版アクティブガイド2023
- ・日本整形外科学会:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンライン
- ・厚生労働省「サルコペニア」|健康日本21アクション支援システム(e-ヘルスネット)
現場経験のある社内担当者が、スタッフへの取材やアンケート、社内で蓄積された情報などの一次情報をもとに執筆しています。