近年、年金受給者の方々の中で、生きがいや収入を補うためにパートタイムで働く方が増えています。
年金をもらいながら働く場合「確定申告が必要かどうかいまいちよく分からない…」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、年金をもらいながら働く場合、確定申告が必要な人・必要ではない人の条件について、分かりやすく解説していきます。
確定申告が必要な人の条件|年金をもらいながら働く場合
年金をもらいながら働いている人の中で、確定申告をする必要があるのは、以下の条件に当てはまる場合です。
・公的年金等の収入金額の合計が400万円を超える
・公的年金以外の給与所得が20万円を超える(年間の給与収入が75万円以下)
どちらか1つでも当てはまれば確定申告が必要となります。以下で詳しく説明します。
◆公的年金等の収入金額の合計が400万円を超える
国民年金や厚生年金、共済年金など、公的年金等の収入金額の合計が400万円を超えている方は確定申告が必要です。
「公的年金等」とは、国民年金や厚生年金、共済年金、確定拠出年金などが含まれます。複数から年金をもらっている方は、その合計額で判断することになります。
◆公的年金以外の給与所得が20万円を超える(年間の給与収入が75万円を超える)
年金以外の給与所得が20万円(年間の給与収入が75万円)を超える場合も確定申告が必要となります。年金以外の所得には以下が含まれます。
・パートの給与収入
・個人事業での収入
・不動産の賃料
・生命保険会社などで加入している個人年金など
ここで注意したいのは、「給与所得」と「給与収入」は異なる点です。
給与所得は、給与収入から給与所得控除(55万円)を差し引いた金額になります。
例えば、1年間(1月〜12月)のパート給与収入が80万円だった場合:
80万円(1年間の給与収入)ー 55万円(給与所得控除)= 25万円(給与所得) |
この場合、公的年金以外の給与所得が25万円となり、条件である20万円を超えることになるので確定申告が必要になります。
年金以外の給与収入が年間75万円を超えると、給与所得が20万円を超える可能性が高くなります。
確定申告が必要ではない人の条件|年金をもらいながら働く場合
一方、年金をもらいながら働いている人であっても、公的年金等の収入金額の合計が400万円以下かつ、公的年金以外の給与所得が20万円(年間の給与収入が75万円)以下の方は確定申告は不要です。
ただし、所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告が必要なケースもあるので注意しましょう。
住民税の課税条件は各自治体によって変わります。詳しく知りたい方は、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
確定申告が不要な人でも、確定申告した方がいいケースもある
以下のような場合は、確定申告が必要ない場合でも、申告することでメリットを受けられる可能性があります。
【所得税の還付を受ける場合】
年末調整で控除しきれなかった医療費控除やふるさと納税の寄付金控除などがある場合、確定申告をすることで所得税が還付される可能性があります。
特に医療費が高額だった場合は、確定申告をすることをお勧めします。
【住民税の申告が必要な場合】
所得税の確定申告が不要な場合でも、お住まいの市区町村に住民税の申告が必要な場合があります。この場合、所得税の確定申告書を提出することで、住民税の申告も兼ねることができます。
年金をもらいながら働く場合、年末調整は必要?
年末調整は、給与所得者の所得税の精算手続きです。年金をもらいながら給与収入がある場合は、勤務先で年末調整を行う必要があります。
ただし、確定申告が必要な条件に当てはまる方は、勤務先で年末調整をしたとしても確定申告をすることになります。
勤務先で年末調整をしたからといって確定申告が免除される訳ではないので注意しましょう。
まとめ
年金をもらいながら働く場合、確定申告が必要か不要かの判断は以下の点で行います。
・公的年金等の収入金額が400万円を超えるかどうか
・公的年金以外の給与所得が20万円(給与収入が年間75万円程度)を超えるかどうか
年金と給与の両方を受け取っている方は、確定申告が必要になるケースが多いため、自身の状況をしっかりと確認することが大切です。
また、確定申告が必要ない方でも、医療費控除や各種控除を受けることで税金の還付を受け
られる可能性があります。ご自身の状況に応じて、確定申告をした方がお得かどうかなど、検討してみましょう。