社会保険の加入条件が拡大し、今までは社会保険に入らなかった方も加入対象となるケースが増えました。
「これまで通り、社会保険に加入しないような働き方にした方がいいのかな?」
「そもそもパートで社会保険に加入したらどんなメリットがあるの?」
という疑問をもつ方も多いと思います。
今回は、パートで社会保険に加入したらどんなメリット・デメリットがあるかについて詳しく解説していきます。
社会保険の内容
社会保険とは、社会で生活するうえで起こるさまざまなリスクに備えるための公的な保険制度です。
企業に勤める正社員や、一定の条件を満たすパート・アルバイトが加入の対象となります。
社会保険はいくつか種類がありますが、一般的には「健康保険」「厚生年金保険」のことを指します。
また40歳以上になると、健康保険に加入している人は「介護保険」への加入も義務となり、毎月介護保険料も支払うことになります。
社会保険の加入条件
社会保険は、勤務先の条件や本人の働く条件によって加入するかどうかが決まります。
加入には、以下の条件があります。
【社会保険の加入条件(2024年1月現在)】
- 所定労働時間が週20時間以上
- 勤務先の従業員数が101人以上(厚生年金に加入している従業員)
- 給与が月額8万8,000円以上
- 継続して2か月をこえて雇用される見込みがある
- 学生ではない
※2024年10月以降、従業員数101人以上→51人以上に変更されます!
上記の条件を満たした場合、正社員だけではなくパート・アルバイトの方であっても社会保険に加入することになり、手厚い保証が受けられます。
社会保険に加入するメリット
社会保険に加入した方がいいかどうかは人それぞれですが、加入するメリット・デメリットについて理解し、家族と相談した上で決めることをおすすめします。
まずは、社会保険に加入するメリットをお伝えします。
①将来もらえる年金額が増える
厚生年金保険に加入すれば、老後にもらえる年金額が増えます。
厚生年金に加入していない人でも、国民年金から「基礎年金」を受け取ることができます。
配偶者の扶養に入っている方は、この基礎年金を受け取ることになります。
しかし厚生年金保険に加入していれば、基礎年金に加えて、支払った厚生年金保険料に応じた金額が上乗せされるのです。
つまり、「国民年金+厚生年金」の2種類の年金がもらえるということです。
厚生年金保険の加入期間が長ければ長いほど、厚生年金で受け取れる金額は上がります。
②医療保険の給付が充実する
社会保険に加入している方は、条件を満たせば「傷病手当金」や「出産手当金」の給付を受け取れます。
傷病手当金や出産手当金は、病気やケガ、出産を理由に一時的に仕事にいけなくなった場合に、給与の3分の2以上が保証される制度です。
やむを得ない事情で仕事ができないときに給与の半分以上を保証してくれるのは、とてもありがたいですよね。
この手当は、国民健康保険には含まれておらず、扶養内で働いている場合も受け取ることはできません。
③年収の壁(106万~130万)を気にせず稼げる
社会保険に加入したら扶養の範囲から外れてしまいます。
そのため、扶養の範囲内で働きたい場合は、いわゆる年収の壁(106~130万)を意識をして働く必要があります。
人によっては、もっと働ける時間と体力はあるけれど、扶養内におさめるためにセーブしている方もいるかもしれませんね。
しかし、社会保険に加入すると決めれば、年収の壁を気にせず働きたい時間だけ働いて稼ぐことができます。
④国民年金・国民健康保険を払っていた人は保険料の負担が少なくなる
厚生年金保険と健康保険の保険料は、勤務先の企業が半分負担してくれます。
そのため個人で国民年金・国民健康保険に加入するより保険料の負担が少なくなります。
さらに、国民年金や国民健康保険よりももらえる年金額は増え、保証内容も手厚くなります。
社会保険に加入するデメリット
社会保険に加入するデメリットは、毎月の保険料が給与から天引きされ、手取り額が減ってしまうことです。
とくに、今まで扶養の範囲で働いていた方は、年収の金額によっては扶養の範囲で働いていたときよりも手取り額が減ってしまう可能性もあります。
そのため、「社会保険に加入したら働き損になる。」という声もあります。
しかし毎月もらえる金額が減ったとしても、その分年金が増えたり、保証が拡大したりなど長期的に得られるメリットもあります。
ただ損をするという訳ではなく、払った金額は無駄にはならないということを理解しておきましょう。
まとめ
一般的に「パートで働くなら扶養の範囲内で働いていた方がお得」という意見もよく聞きますが、実は社会保険に加入することで得られるメリットはたくさんあります。
とはいえ、本人の理想の働き方や家庭の状況によっては、社会保険に加入しない働き方がベストな場合ももちろんあります。
社会保険に入るかどうか迷っている方は、ぜひ今回の記事を参考に、自分が納得できる働き方を見つけてくださいね!